店長の部屋

リカバリー大作戦! ①

ある店舗での体験談です。

店長として学びもあり反省もあった店舗でした。この店(N店とします)での社員在籍は全部で3回あり、今回の話は3回目のN店、しかも店長として異動の話です。私としては、働いている時間も長くとても愛着のある店でしたが、この時のN店は目を疑う様な光景での運営でした。私の知っているN店を復活させたくて、全力で挑んだ店舗でした。

結果、力尽きて退職してしまいましたが、店長としてのスキルは身についたと自負しております。努力は報われる!ただ自分のウデを過信しすぎて、ハンドル操作をミスり事故を起こした。そんな店長体験談です。

罰ゲーム?

ある日、異動の辞令が有りました。

「来月からN店を頼みたい」

「悪い店」との評判を耳にしていたので、正直複雑な気持ちで承諾しました。今の自分の基礎造りがこのN店だったので、感謝の意を込めて恩返ししたい!けど私では役者不足なのでは?と、何とも微妙な気持ちでした。

当時、私が面接・採用を決めたスタッフや、一緒に苦楽を共にしたスタッフも多く残っていたのが不幸中の幸い。「悪い店って少し大げさに評価してるんでしょ?」位に思っていました。

異動の発表もあり、挨拶がてらN店を訪れてみました。

「何やってんの?」が最初の印象でした。決められたオペレーションは出来ておらず、活気も無い。私が店に入っても誰一人気づかない。照明は全て点いているのに、どんより暗い。

「何?この店?」「この異動は罰ゲーム?」

こんなネガティブしか思いつかない状態でした。

異動当日。出勤してシフトに入りましたが、予想を上回る店でした。

スタッフの遅刻、盗難、身だしなみ・・・挙げればキリが無いほど。つまみ食いが可愛く思える程、酷い状態。「ここは動物園?」と疑ってしまう有様でした。

シフトが終わって、信頼のおけるスタッフと話をしました。彼女は私が面接・採用をしたスタッフで、バイトリーダー兼シフト管理を任されていました。

「私、店長がN店に来てくれて本当に嬉しいんです!また一緒に働けるし、このN店を復活出来る!って思っているんです!」と嬉しい言葉を伝えてくれました。

「今まで頑張ったね!ありがとう!復活させる為に協力してくれる?」

「はい!任せて下さい!」

ここから大作戦の始まりです!

戦略!

とにかく「まとも」な店舗に早くしたい!注視すべきモノは、スタッフではなくお客様!

そんな気持ちが大きく、まずはスタッフの入れ替えを決断しました。最悪、全取っ替えになっても仕方がない!と腹を決め、問題のあるスタッフが居心地の悪い環境の整備に当たりました。

売上伸ばすとか、機器のメンテナンスとか、そんな事よりスタッフを固めないと良いパフォーマンスは得られないと思ったからです。

個人面談

復活に向けてどのスッタフが戦力になるかどうか見極めました。50人近くいたスタッフのうち、戦力外とみなしたスタッフは半分。

カウンセリングやミーティングを実施し、可能性があれば・・と思っていたけど、すっかりぬるま湯に浸かってしまったせいで、なかなか難しい状況でした。

でも希望ある子もいました。環境のせいで芽が出にくくなってしまった子や、この現状に疑問を持ちながら働いている子、こういう目立たないスタッフも多くいたので希望もありました。

とにかく私が心を開かないと、彼らも心を開いてくれません。悪い事を「悪いと思う」と言える風通しの良い環境にする事から初めていきました。

芽を摘む

「悪のリーダー」この芽を摘む事に決めました。他にも悪い芽が有りましたが、風通しが良くなったおかげで退職してくれました。仕事が減り感謝!

しかしながら「悪のリーダー」は手強い!これは長期戦と腹を括りました。

このスタッフが盗難やネガティブな発言を繰り返して、他のスッタフを自分の懐に入れようとする。とか「充電器借りまーす!」と言って、いないスタッフのカバンを勝手に開ける。とか、もうやりたい放題。

とにかくシフトを調節して、この悪のリーダーと仲の良いスタッフを遠ざけ、どんどん孤立させていきました。スタッフの盗難事件も悪のリーダーが怪しいと思ったら、徹底的に追い詰めました。

勢いが弱くなって来たな・・と感じた頃、「退職したいんですけど・・」と言って来ました。

モラル・マナーの徹底

何人か退職した頃、新しいスタッフを入れておかないと店舗運営が厳しくなります。求人媒体を出し、リクルート活動にシフトチェンジしました。

同時にモラル・マナーの徹底に務めました。身だしなみや店舗ルール、挨拶、言葉使い、今までグレーになっていた部分をクリアにし、真面目で素直な子が評価される店舗にしていきました。

このN店は事務所と店舗が離れた位置にあり、移動距離が約5分。それぞれの大家さんが存在して私達スタッフもよく会います。すれ違ったら挨拶をする。公共の場所で大声で話しながら歩いたり、他の人達の迷惑になる行為は絶対にするな!と厳しく指導しました。

このモラルの徹底によって新しいスッタフが増えて、悪い芽がドンドン減っていきました。

しかしながら根強い「悪」が残っているのも事実。数人の悪のせいで統率が取れない。店舗ルールもギリギリの所で上手く交わされ、なかなか真を突き止める決定的な事はやらない。何とも歯がゆい時期がありました。

モラルやマナーの徹底だけでは、スタッフの改善に限界を感じていました。

水面下の戦い

毒を以て毒を制す

数人の悪を残したまま1ヶ月が経った頃、転機が訪れました。

飲食店の義務である「腸内検査」の提出が2ヶ月に1度あり、2回連続の未提出はシフトに入れない、というルールがありました。またそのルールは次の検体提出で陰性の結果が分かり次第、勤務が再開出来るという重い規定でした。

1人の男性スタッフが提出していない事が判明し、私はチャンス!と思いました。N店独自の店舗ルールに「1ヶ月シフトに入らいないスタッフは解雇する場合がある」という規定が有り、これを同意した上で雇用契約を結んでいたのです。もちろん特例はありますが、彼の場合は「毒」を使う事にしました。

私は男性スタッフに言いました。

私「検体出して無いから、2ヶ月シフトに入れないよ」

スタッフ「仕方ないですね」

私「N店ルールで1ヶ月シフトに入らない場合、退職してもらう事になるけど」

スタッフ「クビって事ですか?」

私「クビじゃないよ。この規定を同意して契約してるでしょ?」

スタッフ「・・・辞めたく無いです」

私「君だけ特別扱いする訳にはいかないよ。新人スタッフも増えてきて、ルール破っても大丈夫だ!って思われたら困るもん」

スタッフ「・・・どうすれば良いですか?」

私「退職後、また面接しましょうか。正規の方法なら問題ないし」

スタッフ「分かりました」

本当に面接の応募がありました。本当に辞めたくなかったんだ。って思いました。でも私は採用するつもりはありません。彼の仕事のスキルは買っていましたが、手本となる行動が出来ていないからです。

数日後、面接に来店しました。驚きました。終始 肘をテーブルについて手に顎を付いている姿勢で、質問に答える時も目線が合わない。「何を考えてるの?」考えられない態度でした。「私も舐められたもんだ」新たに怒りが沸々と湧いてきました。

最後の大きな悪が店舗を去りました。

スタッフのモチベーション

検体未提出の一件で、店舗スタッフの背筋が伸びた様な感じがしました。

新店長は絶対に逆らえない!面倒くさい店長だ!

こんな風に思ったスタッフもいたと思います。その結果、真面目で素直な子だけが残り適当に考えていたスタッフは全員退職しました。

やっと陽の当たる風通しの良い環境になりました。私の尖った気持ちも丸くなって心機一転、前を向く事が出来る様になりました。

N店が好き!と言ってくれるスタッフがやる気になり、笑顔も多く見れる様になって私も嬉しくなりました。

お客様からのクレームもグンと減りました。スタッフの態度であったり、商品に対する問い合わせ、ひたすら謝っていたのが嘘のようです。「こんなに変わるもんなんだ」と改めて人の力を感じた気がします。

私が異動して5ヶ月程経った頃でした。

新しい風

ひたすら面接をしていた時期もありました。1ヶ月で10人位の応募があり、数人のスタッフで面接していきました。約3ヶ月位で店舗スタッフは半分以上入れ替わって、50人いたスタッフは45人位になり、フレッシュな顔ぶれで再出発です。

新人が入ると元々のスタッフも顔つきが変わり、更にやる気を出してくれました。

ぎこちない接客にも、一生懸命やっているスタッフを見て「頑張ってね」と声を掛けてくれるお客様もいらっしゃいました。

新人が増えた今、システムを変えた方が良いと思う。と提案するスタッフも出て来ました。

自分はこのポジションが苦手だから、出来る様になる為に教えて下さい!という前向きなスタッフもいました。

私も俄然やる気に満ちあふれていました。

 

最後まで拝読、ありがとうございました。5月1日に「リカバリー大作戦! ②」を公開致します。次回も是非、読んで頂けたら嬉しいです。

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satchon
当ブログにご訪問頂きありがとうございます。 自由に生きたい!本気で切実に願うアラフィフオンナ(^‐^)vです。 25年間 大手飲食店で勤務してきた経験や、日常の些細な事を気ままに語る雑記ブログです。

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