店長が出せる利益は限られてます。
経営者であれば家賃交渉や仕入れの原価交渉、経費の無駄使いを止める・・など、方法は幾つかありますが、店長は決められた範囲の中で運営するしかありません。
私が利益を出す為にやって来た事を公開します!
仕入れ
在庫管理
発注するには在庫を確認します。在庫があるのに仕入れてしまったら、冷蔵庫に入らなくなる可能性があったり、賞味期限内に使い切るかどうか分かりません。
発注数=必要数一在庫数
つまり必要数も理解してなくてはいけません。どうやって必要数を求めるのか?その数字は適正なものか?データを元に必要数を出します。
また飲食店あるあるですが、季節で人気商品は変化します。夏なら冷たい物だし、冬なら温かい物の出数が増えます。当たり前の事ですが、だいたい発注数を失敗します。私もストローや砂糖を切らして他店舗に借りに行った事が、数えきれない程あります。発注をミスって原材料の移動や調達は無駄な労力です。防げるミスは防ぎましょう。
原材料を切らして数字が取れないのも問題です。運営において「売切れ」は、なるべく無くしたい事です。お客様は期待をして来店し注文されます。その期待を1度裏切ると「期待外れ」になり、2度目は「いつも欲しい商品は売切れ」「もう利用は止めよう」になります。飲食店は他にもある中で、当店を選んで来てもらえたチャンスを無駄にするのは、大きな損害です。
必要数の算出は信憑性のあるものから選びます。一番身近にあるデータ、つまり直近1週間のデータと昨年の出数のデータを分析し、天気や近隣のイベントなど売上げに影響ありそうな物をプランに踏まえて仕入れの数字を決定します。
整理整頓
冷蔵 冷凍庫や、倉庫などのパントリーの整理整頓は絶対に必要です。どこに何があるか第三者の人間が見ても一目で分かるように置くだけで、生産性が上がり掃除もしやすいです。
整理整頓は一人で行う作業ではありません。スタッフ全員が把握する為にも、店舗でルールを決めてレイアウトする事が望ましいです。毎回レイアウトが違う、片さないなどがあるとスタッフは「これで良いんだ」と思ってしまい、食材を雑に扱ってしまう恐れもあります。『食べ物を販売している』と認識させる為にも整理整頓は心掛けた方が良いです。
可能であれば時給を付けてでも整理整頓や掃除をスタッフに仕事させた方が良いとさえ思っています。スタッフには仲間意識があるので、自分がだらしない事をすると他の誰かに迷惑をかけてしまう!と思わせる事で、自然と整理整頓が日常になります。
整理する事は面倒な事ではなく、当たり前の事だと初めから決め事にするのが一番です。
私は冷蔵 冷凍庫に私物を入れる事を禁止させていました。私物化になる事を恐れていたからです。そんな事にはならないだろう、と油断した所から規律は乱れます。何か事件が起こってからでは遅いのです。管理を簡略させる為に私物化をNGにしていました。
廃棄処分の削減
賞味期限の切れた食材は廃棄処分になります。想定外の出来事や発注ミス、先入れ先出しのルールが守られていないなどが原因ですが、これはなるべく避けたいミスです。
もし、賞味期限の食材を発見してしまったら捨てるしかありませんが、賞味期限が近い食材でこのままだと廃棄になってしまうだったら、売れば良いのです。
未然に防ぐ為に整理整頓は役立ちますし、自分が気が付かなくてもスタッフが気付く事もあります。私も大分スタッフに助けられました。無駄なコストを掛けない事は商売の大原則です。
では、どうやって必要数で出た数字以上に売るのでしょうか?
一番手っ取り早く出数に繋げるのはPOPです。お客様の視線の同線を考え、目立つ所に売りたい商品のPOPを出すのです。私の経験上、結構出数が上がりますよ!そのPOPを指しながら「〇〇いいかがですか?(笑顔)」すると、3人に1人は注文してくれます 笑
この小さな行動で売上チャンスにも廃棄処分の削減にも繋がります。
出来れば、そんな事は気にせず商売出来るのが良いですけどね。
人件費
抑えたい経費ですが、これをケチると売上げも伸びません。このバランスはとても難しいと思いますが、私は上げる時は思いっきり時給を上げました。新人を2人使うより、出来る子が1人入れば店は何とかなります。逆に人件費が安くあがります。
少ない人数でもエース級のスタッフでの運営は、効率もよく見栄えも良いです。スタッフ育成は人件費の鍵となります。
退職
3年勤めたスタッフが退職を申し出て来たとします。このスタッフの穴を埋めるのに何人の新人スタッフを採用する必要があるでしょうか?
物理的な数は1人の新人スタッフを採用すれば良いかもしれませんが、そのスタッフに教えるスタッフや、1人前にするための期間中はもう1人のスタッフをシフトに入れなくては、店は回りません。3年選手の穴は単純に1人のスタッフだけでは埋まらないのです。
他にも、媒体を組む広告費やユニホーム代、教育費など諸々を考えると3人で100万円の費用が発生すると言われています。しかし上手くいった場合です。採用したスタッフが辞めずに働いてスキルも付き、店に貢献出来るスタッフは何人残るか?残念ながら現実的に3人採用して2人残れば良いでしょう。下手すれば1人か0人の可能性もあります。
もちろん金銭的な話だけではありません。面接に掛ける時間や教える労力も考えるとモチベーションを上げる努力も必要になります。
過去に慢性的な人不足の為、来る者拒まずのスタイルで全員採用したのですが、全員1ヶ月以内に退職しました。その数は10人程です。オリエンテーションやトレーニング、ユニホーム発注や教材、全て無駄にした事があります。この時はきっと100万以上の経費を使ったと思います。
辞めさせない
無駄な退職は避けた方が良いです。時期的な問題での退職は仕方ありません。大学生の就職や、主婦の引っ越しなどは予測可能な事は事前に予定として組めますが、別の要因での退職は努力次第で食い止める事が出来ます。
労働環境の見直しだったり、スタッフとのコミュニケーション、適度なミーティングなど回避出来る事はたくさんあります。問題のあるスタッフもカウンセリングを用いて正す事も出来ます。逆を言えば店長にしか出来ないスキルです。店舗を纏める為に手を変え品を変え、スタッフのモチベーションを上げていかなくてはなりません。
よくスタッフから「お母さんみたい」と言われていました。時には叱り、時には褒めてと、スタッフに接していました。人は感情を持って生きています。時々で感情が忙しい事もあります。店長はスタッフの感情も注視しなくてはいけないのです。
でもそんなに見張っている事は不可能です。だから組織化する事が望ましいのです。様子がおかしいと、他のスタッフから教えてもらう事が出来たのであれば声を掛ける、時には手を貸す事も出来ます。その事に気が付かないままだと最悪退職の道を選んでしまうかもしれません。
「辞めさせない」というのは「無駄な退職を減らす」という意味なのです。
エースの育成
エースとは戦力です。リーダーとは少し違います。その役割において最高の仕事をしてくれるスタッフです。
例えば、包丁捌きがピカイチとか、接客スキルは右に出るものはいないとか。その仕事に対して最高のパフォーマンスを発揮出来るスタッフが1人でも多くいたら、運営はかなり楽になります。
もちろんお客様も喜んでくれるサービスに繋がります。そのスタッフ目当てに店に足を運んでくれます。
エースの育成は最高の利益獲得になります。
光熱費
トイレの電気は消しましょう!とか、蛇口はしっかり閉めましょう!も大切です。でもココで伝えたいのは、気づかない内に上がりやすい光熱費を紹介します。
エアコン
週に一度フィルターを掃除するだけで光熱費が削減出来ます。また光熱費だけではなく、エアコンの機械自体の寿命も伸ばせます。
営業時間が長ければ長いほど汚れやすいです。汚れればエアコン自体の機能も低下し、設定温度を保つ為により可動を続けます。もちろん電気量も多く使うので電気代も上がります。
店舗の広さや可動時間にもよりますが、真夏132平米のスペースで1℃設定を下げると1ヶ月の電気代は3~5万円程変わります。そこにメンテナンスを怠ったらと考えると恐ろしくないですか?
マメに掃除をする事をお勧めします。
機器メンテナンス
エアコンの他に電気量が掛かるのは冷蔵 冷凍庫です。フィルターの他にドアパッキンの劣化も考えられます。食材を出し入れする際に冷気が外に逃げるので、どうしても常に可動を続けます。エアコン同様週に一度はメンテナンスすると効果的です。
営業中はメンテナンスに限りがあります。閉店後一気に掃除するのは不可能に近いです。何曜日は○○のメンテナンスの様に、決めてしまえば無理なく週に一度掃除が出来ます。また常に掃除をする事で、いつもと違う異変に気が付きます。機械が壊れて調理が出来ないとなると、直接的に売上に影響し利益どころではありません。
突然やってくるトラブルに備える為にも、日々のメンテンスは外せません。
最後に・・
利益を出すには売上を上げるのが一番の近道だと思います。経費削減は限界もありますし、何より店長のモチベーションが下がります。売上の○%が人件費や光熱費と予定しているので、売上が上がれば使いたい放題です!
不思議な事に、売上が上がると人件費が下がるんですよね。割合の話ではなく実際の金額自体がです。今日は○○円売るぞ!と気合を入れてスタッフを多く入れたり、食材を多く仕入れても実際はそこまで売れず、低く見積もって用意すると理由も分からず数字が跳ねたり。
全く予定通り行かないのが商売ですよね。だから面白いだと思います。